地形を活かした形
敷地は甲斐駒ケ岳に続く山裾に位置し、西から東にかけての傾斜地です。傾斜は1/10程度ですが、長手方向になるので、かなりの高低差が生じます。自然との折合を考えながら地形に調和した形にこだわり、道路からあまり高くならないように、樹木も極力残した形を考えました。その結果、一部床をスキップさせ、1階部分は半分地中に潜り、その上に2階部分がのる形になりました。建物は一見平屋建てのように見えます。
柱・耐力壁をバランス良く配置
できるだけ周囲の緑を家の中にも取り込むためには、南側に大きな開放部が要求されます。逆に北側は、八ヶ岳から吹きおろす冬の寒風対策として、開口部は必要最小限となります。耐力壁のバランスに配慮し、X・Y方向とも、建物内部に2倍から4倍の壁倍率になる耐力壁を配置しています。また、柱は150角の桧材を使用し、耐震性をさらに向上させました。
表層地質を調べ地盤改良
地質調査の結果、表層部約1.5から2.0mまでは落ち葉の堆積した柔らかい地質で、地耐力が不足していることが分かりました。また、スキップ建物の壁半分が基礎のような壁で覆われるため、建物はかなり重くなります。そこで、建物の柱直下部に、表層地質の下部の支持地盤までソイルコンクリートを流し込み、その上に鉄筋コンクリート布基礎をスキップ状に計画しました。
仕上げは自然素材を使用
壁や床に無垢の木材と漆喰を使用。自然素材にこだわりました。土や木は保温性に優れ、輻射熱の効果も高く得られることから、寒冷地の居住性にはかなり効果的です。 外壁下地は小舞を組み、土壁を塗りこんで漆喰仕上げとしました。その内部や内壁は、ラスボードに漆喰塗りとし、壁倍率1.0を確保しています。